望月明彦氏による交渉学Web講座

交渉研修の現場から 第6回「交渉分析力診断テスト」

NPO法人日本交渉協会常務理事 望月明彦

日本交渉協会が実施している交渉研修(交渉アナリスト実技研修、通学ゼミ土日集中講座、ビジネス交渉アナリスト講座など)で気付いたことをお伝えしていくコーナーです。

通学ゼミ土日集中講座では、参加者に研修の最初と最後に、交渉分析力診断テストを実施していただき、その結果を後日フィードバックしています。今日はこの診断テストについてお話します。

この診断テストは、交渉事例にそって約30の問があり、各問について4択の中から自分が最適と思うものを選んでいただく形式です。この診断では、交渉力を「分配型交渉」「統合型交渉」「認知バイアス」「意思決定」「信頼性」という5つの観点から評価し、100点満点で得点化します。

この診断は、いわゆる交渉力をはかるものではなく、“交渉を分析する力”をはかるものです。5つの観点の点数をみることで、自分が交渉のどの分野の理解が弱いのか分かります。ですから、交渉力があると自負している方が必ずしも高得点を取るというものではありません。むしろ、交渉は苦手だという方でも、交渉学をしっかり学び、交渉理論の理解度が高ければ高得点になります。

また、この診断は研修の前後で同じものを実施しますから、研修による交渉理論の理解度が測定できます。これまで診断を受けたほぼ全ての方が研修前より研修後のほうが点数は良くなっています。

さて、この診断テストの結果ですが、大変興味深い傾向があります。

一つは、研修前後の点数の伸び方です。研修には毎回15~20名程度の方が参加されますが、各回の平均点は研修前後で概ね15点程度良くなります。研修は毎回、人数も違いますし、参加者の職業や年齢なども様々ですが、なぜか必ず点数の増加は15点前後なのです。

二つ目の興味深い傾向は、公務員の方の点数が特に高くなるということです。これまで90点台という高得点をたたき出した方は公務員の方が圧倒的に多いのです。公務員の方が日々、交渉をしているイメージがないので意外です。もしかしたら、公務員の方は交渉に慣れていない分、交渉学の理論を素直に受け入れることができるのかもしれません。逆に、普段から営業や購買部門で厳しい交渉を行っているからといって点数が高いわけではないようです。また、これまでたった一人だけ100点満点を取った方がいらっしゃいます。この方は比較的若い起業家の方でした。

交渉は実践です。理論を理解したからといって、良い交渉ができるわけではありません。しかし交渉を科学的に理解すれば、その理解をもとに、より冷静かつ適切に交渉を進めることができ、より良い交渉プロセスと交渉結果につながるはずです。ただやみくもに交渉の実践を重ねるのではなく、その背後にある交渉学を学んでみること、そしてその理論を実践で活かしてみることが大切です。

望月 明彦氏

望月公認会計士事務所代表
特定非営利活動法人 日本交渉協会常務理事
ディップ株式会社監査役 (東証1部上場)(現任)
アイビーシー株式会社監査役(東証1部上場)(現任)
日本公認会計士協会東京会 研修委員会 副委員長(2010~2014)
経済産業省コンテンツファイナンス研究会 委員(2002~2003)

早稲田大学政治経済学部卒。
監査法人トーマツを経て、慶応義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)修了。
その後、上場企業の経営企画部長として資本政策の立案・実施、合弁会社の設立、各種M&Aなどを手掛ける。
さらに、アーンストアンドヤングの日本法人にて上場企業同士の経営統合のアドバイザー等を務める。
2010年より望月公認会計士事務所代表。日本交渉協会常務理事。

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交渉研修では、参加者にいくつかのチームに分かれていただき、チームごとに交渉相手への提案を検討・発表していただくことがあります。いわばチーム交渉です。

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交渉アナリストの研修では、交渉学の理論を説明した後、参加者の皆さんにロールプレイングを行っていただき、交渉知識を試していただきます。二人一組のペアで、片方が売り手、もう片方が買い手となり、それぞれ1~3枚程度の簡単なケースを読み、交渉を行います。短いケースであれば10分程度、長いケースの場合は40分を超える場合もあります。

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まとめ

交渉には自分だけがハッピーになろうとする「分配型交渉」(「ウィン・ルーズ型交渉」)と、自分も相手もハッピーになろうとする「統合型交渉」(「ウィン・ウィン型交渉」)がありました(第1回)。

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