齋藤 由利子さん
JAかみつが厚生連 上都賀総合病院 看護部長
「交渉は価値交換」と学び感銘を受けました。「対立」ではなく「対話」に基づいた協調関係がサービスの成果につながると思います。
お名前 | 齋藤 由利子さん |
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性別 | 女性 |
プロフィール詳細 | JAかみつが厚生連 上都賀総合病院 看護部長 |
ご職業 | 看護部長 |
取得資格 | 交渉アナリスト1級, 交渉アナリスト補, 交渉アナリスト2級 |
当院は栃木県の県西地区における地域中核病院としての役割を担う442床の総合病院です。
私は看護師として30年余りの人生をこちらの病院で継続勤務し、今では看護職員約350名を支える看護部長として4年目を迎えました。ここまでの話をしますと、皆さまはとても固いイメージをもたれるかもしれません。ですが、「仕事も遊びも一生懸命」をモットーとした自分は、発想豊かな柔らか頭をとりえとし、師長やスタッフとの対話ができることを楽しみに仕事をしている毎日です。
近年、医療を取り巻く環境は大きく変化しています。少子高齢化による医療費の増加、病院経営の悪化、また質が高く安心・安全な医療を求める患者・家族の声が高まる一方で、医療の高度化・複雑化に伴う業務の増大により医療現場の疲弊が指摘されています。このような日本の近年の医療現状において、他職種と協働する「チーム医療」が、我が国の医療の在り方を変え得るキーワードとして注目を集めています。
チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されています。チーム医療の特徴は患者中心の発想です。チーム医療の中では、縦割り的な医療提供や上下関係的な医療提供の考え方は排除されなければなりません。したがって、チーム医療を成熟させるためには、それぞれの職種が自律し、責任を持って業務を遂行することが前提となります。
他職種と協働するために重要なのは、情報共有とコミュニケーションであり、そこから「より良い交渉」が必須となってきます。「医療現場の交渉の機会は日常茶飯事にある」と自覚している人は少ないかもしれませんが、多くの職種、患者・家族、地域住民、地域の保健医療施設等々、交渉場面は多岐に渡っています。特に看護師については、あらゆる医療現場において、診察・治療等に関連する業務から患者の療養生活の支援に至るまで幅広い業務を担い得ることから、いわば「チーム医療のキーパーソン」として患者や医師その他の医療スタッフと交渉の機会が多くあります。看護管理者は、さらに安全管理・業務管理・人材育成そしてコスト管理(経営参画)等々交渉の場面が増加します。
私自身は病院の一管理者として「交渉」は特に重要な位置を占めると考え、今回「交渉アナリスト1級」という資格にチャレンジし、取得できたことは、非常に有意義なことでした。
「交渉アナリスト補」の研修では、医療界とは全く異なる業種の方々と勉強でき、とても新鮮でした。また、いかに社会を知らなかったかという自分に気づかされ人生観まで考える機会となりました。「交渉の土台は信頼関係の構築から」を持論としていますが、今思い起こせば自分の交渉は強引ではないものの「自分の正当性をいかに相手に伝えるか、理解してもらうか」であったと思います。
交渉アナリストの研修で、「交渉は価値交換」ということを学び、とても印象に残り感銘を受けました。患者中心の医療や看護の提供には、医療従事者の役割分担を明確にして協力体制の構築のために「お互いの価値」を考えることは、最重要課題です。同時に、医療・看護サービスは医療従事者として「人」「業務」に焦点を当てた交渉が多いことから、チームワークが重要であり、「対立」ではなく「対話」に基づいた協調関係がサービスの成果につながると確信しており、今後一層の努力をしていきたいと思います。