2020年5月の記事一覧
土居弘元先生による交渉学Web講座
「問題と解答」という語からどのようなイメージを描くだろうか。私はなぜか高校時代までの数学を思い浮かべてしまう。問題に対し正解は必ず一つある。それは中学校までの数学である。しかし高校時代の数学では「解なし」という場合も、「不定」という答えもありということを習った。そのあたりで問題に対して正解は一つという思いが変わってきた。また、受験に失敗して予備校に通った時のことである。数学のユニークで素晴らしい授業に魅かれた。「解法の探求」というその授業は、1時間で一つの問題をジックリといろいろな側面から考えるものだった。そして解に到達する方法を考えてその長短を示す。解に至る道は一つではなくいくつかあることを示し、そのうちから最も好ましい解法を見出すというスタイルだった。高校教育までは、問題は与えられるもの、解答はそれに対して作るもの、という方法のトレーニングが行われていた。それはそれで必要だな、と懐かしく思う。
交渉という語のイメージ
何事にも「上手」と「下手」はある。「上手」が高じると名人と称されるようになる。中には自称名人も出て来る。次のような経験をした。
(1)サマルカンドのモスク前でお土産を売っている人との交渉:
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