交涉講座(歴史と日常に学ぶ脅しの対応法)
脅しへの対応としてよく紹介されるのがリンガーのアイスボール理論である。これは簡単に紹介すると何百億年後には太陽もやがては燃え尽き、地球も一個の氷の玉、すなわちアイスボールになってしまうのだという理論である。そのため今目先で起こっていることは所詮は非常に小さな事にすぎないという考え方である。これは脅されて動揺しているみずからの心を落ち着かせる一定の効果のある発想といえる。こだわりを捨て達観するというのも時には必要な事である。
交涉講座(歴史と日常に学ぶ脅しの対応法)
次に大切な事は相手のタイプ、脅しの性格を理解することである。孫子が述べた一節に「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」という言葉があるが、まず彼を知ることが大切である。相手の性格は大きく次の4つに分類できる。
交涉講座(歴史と日常に学ぶ脅しの対応法)
戦国時代の覇者と言えば徳川家康であろう。家康ともなれば脅しに屈することもなかったのではと思われる人が多いかもしれない。しかし現実は、家康も生き残るために脅しに対して最大の譲歩を経験している一人である。織田信長に謀反の容疑をかけられた際に、彼は正室築山殿を殺し、嫡男信康を自害させている。状況が厳しい中では相手からの脅しに対して、最悪の譲歩を強いられることも現実には起こってくるのである。